7月10日、祇園祭の行事であるお迎え提灯と神輿洗式(みこしあらいしき)に行ってきました。
この日の夜に行われるのが、神輿を四条大橋まで担ぎ、鴨川の水で清める「神輿洗」という神事。その神輿をお迎えするために夕刻に行われるのが「お迎え提灯」、そして神輿が通る道を炎で清めるのが「大松明」です。この三つは切っても切れない一連の流れとしてつながっており、夕方から夜にかけて、京都の伝統と神聖な空気を全身で感じられる特別な一夜となりました。

提灯の灯りとお囃子が響く「お迎え提灯」
お迎え提灯を主催するのは祇園万燈会(ぎおんまんとうえ)。行列の主役は子供たちです。
行列は午後4時半に八坂神社を出発。楼門前には「おむかえ」と記された大きな提灯を掲げた先頭行列が現れ、それに鉾の囃子方**が続きます。「コンチキチン」と軽やかな祇園囃子を響かせながら、行列はゆっくりと四条通を進んでいきます。
このお囃子は毎年異なる鉾がご奉仕するのも興味深いところ。2025年は北観音山、2026年の今年は鶏鉾が務めました。
行列は京都市役所前へと向かい、そこで舞踊を披露。その後、寺町通を通って八坂神社へと戻ってきます。地元の方々が手提げ提灯を掲げて歩く姿と祇園囃子の音が響き、夕暮れとともに提灯の灯りが浮かび上がると、まるでタイムスリップしたかのような京都の夜が始まります。

大松明が神輿の通る道を清める
19時頃、八坂神社では松明の点灯が行われ、境内は観客が多いながらも厳かな雰囲気に包まれます。
そしてまず、松明の行列が四条大橋までを往復し、これからお神輿が通る道を清める儀式が行われました。松明もお神輿と同様に、「ホイットーホイットー」の掛け声とともに担がれて四条大橋を往復します。神輿より先に炎が道を祓い清める——この松明の役割があってこそ、神輿洗式が執り行われるのです。松明の炎が揺れる中、京都の街が徐々に夜の祭の雰囲気に染まっていきます。

鴨川の水で神輿を清める「神輿洗式」
松明が戻ってくると、いよいよ神輿の出発です。
この神輿洗式で清められるのは、八坂神社の主祭神である素戔嗚尊(すさのおのみこと)を祀る「中御座(なかござ)」。三基ある神輿のうち、舞殿の中央に祀られているお神輿です。
神職によるお祓いを受けた中御座は、担ぎ手たちによって力強く担ぎ上げられ、松明と同じ「ホイットーホイットー」の勇ましい掛け声を響かせながら、八坂神社を出発して四条通を四条大橋へと向かいます。先ほど松明の炎が祓い清めたばかりの道を、今度は神輿が進んでいく——この連続性こそが、この夜の神事の見どころです。
そして20時頃、四条大橋の上で、鴨川の水で御神輿を清める「神輿洗式」が厳かに執り行われます。ここで使われる水は、実は同日朝10時に行われる「神用水清祓式(しんようすいきよはらいしき)」という儀式で、あらかじめ鴨川から汲み上げて準備された神用水。朝の静かな儀式から夜の神事まで、一日がかりで丁寧に積み重ねられていることにも、この神事の重みを感じます。

揺れる松明の炎、担ぎ手の掛け声、そして鴨川の神用水——火と水が交差する幻想的で神聖なひとときに、橋を埋めた観客も静かに見入っていました。
このとき飛び散る水しぶきを浴びると「向こう1年間、夏病みをせず健康に過ごせる」「厄除けになる」という言い伝えがあり、少しでも神輿の近くで清めの瞬間を見守ろうとする人々の熱気に包まれます。
神輿洗は、7月17日の神幸祭(神輿渡御)で神輿が氏子区域へと繰り出すのに先立ち、神輿を祓い清めて神様をお迎えする準備をする重要な神事。祭が終わった後の7月28日にも、再び神輿洗が行われます。

西楼門の石段下で、提灯行列が神輿をお迎え
四条大橋で清められた中御座が八坂神社へ戻ってくると、西楼門の石段下でお迎え提灯の行列が神輿を迎えます。提灯の灯りに迎えられて神輿が神社へ帰っていく——「お迎え提灯」の名の通りの光景であり、三つの行事がひとつにつながる瞬間です。
お神輿が八坂神社に戻ると、境内では子供たちによる鷺舞(さぎまい)や日本舞踊の奉納が行われました。白鷺のように優雅に舞う姿や、しなやかな所作に思わず見入ってしまいました。このように神様へ芸能を捧げる文化が今も大切に受け継がれていることに感動しました。

京都の本物の文化に触れる体験を
お迎え提灯、大松明、神輿洗式——祇園祭には山鉾巡行だけではない、地域の人々や子供たちが担い、受け継いできた神事が数多くあります。こうした行事に足を運ぶと、京都の文化が「見るもの」ではなく、今も暮らしの中で生きている「営み」であることを実感します。
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