的の裏に潜む「鬼」を射抜く。下鴨神社・追儺弓神事で体感する、古式ゆかしい節分の儀

京都に数ある節分祭の中でも、世界遺産・下鴨神社(賀茂御祖神社)で行われる「追儺弓(ついなゆみ)神事」は、古式ゆかしい弓術の所作を間近で体感できる非常にユニークな行事です。

昨日、実際に現地で拝観した際の様子とともに、下鴨神社ならではの「的」の儀礼とその意味、そして参拝者に嬉しい福豆の情報をご紹介します。

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舞殿で始まる公開神事

下鴨神社の節分祭は、12時半から本殿で神事が始まります(本殿内は一般非公開)。その後、13時ごろに神職や射手が境内の「舞殿(まいどの)」へと移動し、参拝者の前で弓神事が執り行われます。

楼門の屋根を越える「屋越式(やごししき)」

この神事の見どころのひとつに、舞殿の南側から楼門(ろうもん)の屋根を越えるように鏑矢(かぶらや)を射る「屋越式」があります。

これは矢を的に当てることではなく、矢が空を切る際に生じる「音」によって目に見えない邪気を祓い、清めるという意味が込められています。見上げるほど高い楼門を飛び越えていく矢の軌道は、他の神社ではなかなか見られない光景です。

なお、今年は放たれた矢が楼門の屋根を越えず、屋根の上にそのまま乗ってしまう場面もありましたが、こうした予期せぬ展開も、神事の現場ならではのリアルな空気感として印象に残りました。

なぜ「的」を射るのか。裏側に隠された「鬼」の文字

屋越式の後には、射手が実際に的を射抜く儀礼が行われます。ここで使われる的こそ、下鴨神社の弓神事の核心とも言える部分です。

  • 「鬼」を直接見ずに射抜く
    この的の裏側には、はっきりと「鬼」の文字が書かれています。
  • 神事の意味
    古来、災厄や疫病は「鬼」の仕業と考えられてきました。下鴨神社の追儺弓神事では、表向きは通常の的を射る形をとりながら、その実、裏側に潜む「鬼(=目に見えない災い)」を射抜いて退散させるという意図があります。

直接鬼の姿を狙うのではなく、儀礼を通じて災いの根源を封じ込める。この伝統的な手法に、日本人の精神性や、目に見えないものへの敬意と畏怖を感じることができます。

締めくくりは豆まき。福豆は手渡しでも頂けます

弓神事が無事に終了すると、続いて舞殿から豆まきが行われます。福豆を授かろうと手を伸ばす参拝者の熱気に包まれ、境内は一気に活気づきます。

ここで嬉しいポイントがひとつ。豆まきでうまく豆をキャッチできなかったとしても、あきらめる必要はありません。豆まきの後、神職やご奉仕の方々から紙に包まれた「追儺豆(ついなまめ)」を手渡しで直接頂くことができます。10粒ほどが丁寧に包まれており、参拝者一人ひとりに福を分けてくださる下鴨神社の温かさを感じました。

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ひとことアドバイス

下鴨神社の弓神事は、伝統的な所作の美しさを重んじる見応えのある行事です。

  • 鑑賞のポイント: 屋越式をしっかり見たい場合は、楼門と舞殿の間、やや南寄りに位置取ると矢の軌道が綺麗に見えます。
  • 豆について: 「豆まきで争奪戦に参加するのは少し苦手」という方でも、豆まき終了後に手渡しで頂けるのでご安心を。

京都の冬の深まりと、春を待つ人々の祈りを感じられる下鴨神社の節分祭。文化体験として非常におすすめしたい内容でした。

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下鴨神社の追儺弓神事のように、京都には何百年もの間、大切に受け継がれてきた伝統が今も息づいています。

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